『ERPとは、諭旨解雇と同類かもしれない』


前回も少し述べましたが、リストラとは人員削減の代名詞です。
この意見に対する異論は無いと思います。

一方、人員削減と言いながら、海外で行われるレイオフのような一方的な”雇用契約の解除”ではなく、基本的にはERP(Early Retirement Program早期退職優遇制度)などによって実施されているものであり、つまり合法的です。

一部、一方的な雇用契約の解除つまりクビ切りを平気でやる経営者も後を絶ちませんが、これは論外です。
裁判では悉く敗訴となるので、ここでは敢えて取り上げません。 

しかしながら、ERPをポジティブに受け入れることができるのは一部の優秀な社員のみに限られます。
殆どの社員は先行き不安の中、半ば強制性を感じる中でERPに応募してしまうのでしょう。

実際、私が勤めていた会社でも数回のERPを実施しました。
 
その際、残るという選択肢もありながら、残ってもネガティブなイメージしかできないとの理由でERPに応募した仲間をたくさん知っています。

強制性や制裁性の無く、無論、非指名型ではあるが、ERPとは諭旨解雇のようなものであるというのは言い過ぎでしょうか。




『ERPは経営の大きな苦悩』

これまで、ERP(≒リストラ)について、企業業績を回復させるための手っ取り早い手段の一つであるという、どちらかというとネガティブな視点で述べてきました。

実は私はコカ・コーラを辞める際にはERPを利用したのですが、私の場合は先に辞めることが決まっていましたので、ERPは渡りに船だったのですが…

さて余談はさておき、くどいですがERPの効果は絶大なわけです。
とは言うものの、多くの経営トップはこのような事態になる前になんとか手を打ちたいと必死で考えています。

私も経営幹部の末席(人事部長でした)にいたわけですから、その苦悩のほどはよくわかります。

本来は、顧客のニーズをしっかり掴み、ニーズに合致したサービスや物を提供することで売上・利益を増加させ、雇用を拡大し、納税で社会に貢献し、配当で株主に報いる。
そんな経営を思い描いているはずです。

しかし、すべての企業が成功できるはずもなく、その事業が立ち行かなくなった際にERPという名のリストラを選んでしまうのです。したがって、ERPは消極的選択肢というべきものかもしれません。




『リストラを回避するために
  人事部門が取り組むべきもの』


経営の安定そして業績を向上させ、雇用を確保し、労働条件の更なる向上に努める。
これは経営者の至上命題です。

その経営の存続が危うくなる理由は、経営トップの経営判断ミスをはじめ様々にあるとしても、経営トップにすべての責任を押し付けることは組織人として、ましてや幹部の職にあるものとしては失格の烙印を押さざるを得ません。

そもそも、総務・人事・経理・営業(販売)・企画・生産などの各部門は、それぞれに専門特化した立場で経営者の経営活動を支えるために存在しているものです。
組織が大きくなって経営者だけでは管理・監督できなくなることによって生まれるのが各部門であり、その責任者が部門長であるわけです。

言い換えれば、経営者がすべてをマネジメントできるならこれらの部門は不要のはずです。

経理はお金の出入り(出納)を詳細に把握し、円滑な経営に貢献することがミッションでしょう。
営業や販売部門は売上の増加、生産部門は低コストで高品質なモノづくりが命題と言えます。

そして人事部門は、人件費のコントロールを第一のミッションに掲げるべきでしょう。
人件費は代表的固定費ですから、この管理に無頓着になることによって経営を圧迫してしまいます。

ただ、この人件費コントロールを最大のミッションだと意識しすぎると、そのミッション達成のために安易にERPを選択してしまうという危険性があります。

私は、人事部門はもう一つ、経営を左右する大変重要なテーマを抱えていると考えます。
 
このテーマに取り組みつつ、その一方で人件費を適切にコントロールすること。それが人事部に課せられた本当のミッションだと考えています。

そのもう一つのテーマとは、社員一人ひとりのスキルの最大化、そしてこれを導くためのモチベーションマネジメントだと思います。

そして、これはリストラ(ERP)を回避するためテーマでもあるわけです。

(つづく)




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(つづく)