『経営の目標とは何か?』
前回の最後に人事部門としてのミッションについて触れました。
一つは人件費のコントロールであり、そしてもう一つはモチベーションマネジメントであると。

この二つの結論を導き出したその背景について述べてみたいと思います。
その論述のテーマは「経営目標」です。

経営目標については、「利潤極大化論」「制限利潤論」「営利経済論」「制度維持・存続論」など様々な観点での研究がなされ、説が発表されています。

利潤極大化論」とは経営の最大目標とは「何が何でも利益を最大化させること」であるという考え方です。
この論は「結果(利益)良ければすべてよし」という発想を生み、その結果、遵法意識を低下させることにもつながる恐れがあること、あるいは、そもそもステークホルダーの期待に応えることが主たる経営目標でないのか?という疑問があり、よって無理があるとされています。

制限利潤論」とは利潤極大化論の考え方を少し修正したもので、極大化という概念ではなく「満足化」、つまり求める水準をクリアできれば良いという考え方です。
ただこれも利益という単一目標論に違いは無く、企業が追い求めるべき複数の目標の一つでしかないのではないか?という疑問に対しては無理がある理論です。

営利経済論」とはアンゾフが唱えた理論で、企業には非経済的なテーマを含めて複数の目標があり、その最上位が利益の獲得であるという考え方です。 
これは比較的受け止めやすいのではないかと考えます。
しかし、利益が最上位の目標とする点で、心地悪さが残ります。 

そして最後に「制度維持・存続論」。
これはかの有名なピーター・ドラッカーが唱えた理論で、利益などの経済的目標が企業にとっての最上位の(第一の)目標ではなく、企業を維持存続させることこそ最大かつ最重要の目標であり、利益の目標はその一つにしか過ぎないという考え方です。



『ドラッカーが述べた企業目標の考え方』

さらにドラッカーは、企業の維持・存続のために目標を以下の8つに分類しました。

社会的責任に関する目標
従業員の業績と評価に関する目標
経営管理者の業績と育成に関する目標
収益性に関する目標
物的及び財務的資源に関する目標
生産性に関する目標
革新に関する目標
市場における地位に関する目標

上記の通り、ドラッカーは収益性や生産性など、経済的目標の位置づけは相対的に低く、逆に企業の定性的価値を高める目標を上位に置いています。

その理由は、
  • 企業が生み出すモノやサービスを社会や顧客が求めるレベルに仕上げて社会に送り出すことが重要で、その結果、社会や顧客からの支持を得ることができる。
  • その為の仕組みづくりや動機づけを行うことが必要で、その結果、利潤を獲得することができる。
  • このような活動の繰り返しが企業の維持・存続に繋がり、これによりすべての多方面のステークホルダーの期待に応えることができる。
つまり、
『利益を上げることが企業の目標ではなく、企業の維持・存続そして発展が目標であり、利益はその真の目標を達成するための手段の一つでしかない』
ドラッカーは、このように主張しているのだと私は思います。



『企業目標に関する考察のまとめ』

利潤極大化論、制限利潤論、営利経済論、そして制度維持・存続論。
どの論を採るかは経営者次第ですが、があ前3理論はいずれも無理ります。

例えば利潤極大化論は、最大限にカネを儲けることが企業の目的とする論です。
では、儲けたカネはいったい何に使うのでしょう?

そもそも儲けることが目的の会社はどこに向かうのでしょう?
そもそも、金儲けを目的と言って憚らない企業をステークホルダー(特に顧客)は支持するでしょうか?

やはり、金儲けを第一に掲げる利潤極大化論、制限利潤論、営利経済論の3つの理論は無理があると言って差し支えないでしょう。

同じことの繰り返しになりますが、ドラッカーが言う
『利益を上げることが企業の目標ではなく、企業の維持・存続そして発展が目標であり、利益はその真の目標を達成するための手段の一つでしかない』

腑に落ちるとはこのことですね。

今回は少し脱線して、企業目標(経営目標)について詳しく語りました。

次回は、この企業目標を部門の活動に落とし込んでいくこと。
そして、これを踏まえた人事部のミッションについて述べてみたいと思います。


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