つい先日まで「かかりつけ薬剤師」という話題に関連して薬剤師さんについて私見を述べてきました。
今回は社労士さんについてちょっと私見を述べてみたいと思います。



懲戒処分を受けた社労士 

昨年、愛知県の社会保険労務士(社労士)が「社員をうつ病に罹患させる方法」などと自身のブログに掲載したことが話題になりました。

その後、愛知県社会保険労務士会はこの社労士に対し懲戒処分(数ヶ月の業務停止)を科すことを決定したことが報道されていましたが、さらに先日、この処分は重すぎるとして処分の取り消しを求める訴訟を当該社労士が起こしたことが明らかになりました。

この懲戒処分の妥当性について語る資格はありませんが、反省していないように感じるのは私だけでは無いと思います。

社労士の場合、クライアントの大半が中小企業でしょうし、その経営者に媚を売りたい気持ちはよくわかります。
しかしちょっと(というか、かなり)度が過ぎた言い分だと思います。


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この画像は全国社会保険労務士連合会のHPから引用させて頂きました




社労士を必要する中小企業は多い 

事実、私も中小企業のサポートをしている関係上、大企業の様に人事専任の社員を雇用するほどでも無い中小企業においては人事・労務・福利厚生の取り扱いについての専門家によるサポートが必要なケースが多いことは認めます。

私は社労士ではありません。

しかし、企業勤務時代の若いころは労働組合の役員としていわゆる労働条件改善闘争を経験してきましたし、その後、数年を経て人事部に異動になり、人事担当部長代理、労政担当部長代理を経て人事部長に就任しましたので、労働法についてのある程度の知識はもっていますし、これに関する「労使が納得できる落としどころ」は理解できているつもりです。

その経験を活かして、現在の仕事をやらせてもらっています。手前味噌ですが私も労務管理のプロだと思っていますが、社会的信用度はやはり社労士さんの方が上なのでしょう。
このことはいずれ問題提起したいと思っていますが。

話は戻りますが、最近は特に「ブラック企業」が話題になり企業の規模を問わず適切な労務管理が求められる時代です。さらに社労士など労務に関する専門家の存在は欠かせなくなってきました。

言い換えるとコンプライアンスを軸に労務管理を進めていこうと考えるとき、「こんなことやったら違法になる」「こんなこと言ったら訴訟のリスクがある」など、中小企業の経営者はこれまでに経験したことの無いストレスに悩まされることになっていきます。

そのストレスの解消の為にも合法的に対応してくれる専門家のサポートは不可欠だと考えます。



時代はモンスター社員を生み出した 

労務管理が注目されるようになるにつれ一つの新たな意識が生まれました。
サービス残業や長時間労働、あるいはハラスメントなどにより、昔は泣き寝入りをしていた労働者たちが徐々に立ち上がる様になりました。

いろいろな情報や知恵がインターネットを通じて簡単に手に入るようになったことや弱い立場の労働者を支援する様々な組織の存在、仕組みやルールの整備などが後押ししていることは言うまでもありません。

これらの背景により労使の関係は逆転しつつあるのかもしれません。
そんな中、法律や世論を背景に理論武装した「モンスター社員」の出現がクローズアップされてきています。

自己中心的な言動、一般的な常識では考えにくい理不尽な要求、度を超えたクレームを突き付けてくる保護者をモンスターペアレントと言いますが、最近は「モンスター社員」という言葉を人事労務管理の現場で耳にする機会が増えてきました。

例えば、周囲に迷惑をかけようが有給休暇の取得には遠慮が無い、仕事は自分のマイペースを崩さない、ちょっと指導をするとパワハラだと喚き立てる、自身が感じた職場の不満に対し保護者や家族を巻き込んでくる…等々、人間関係や組織の和などは全く気にせず、これも少し前であれば一般的な常識では考えにくい言動を平気で行います。

さらには、簡単に代理人(弁護士や社労士等)や行政(特に労基署)、あるいは外部の労働組合などを介し、徹底底に争う姿勢を見せてくる人までいます。




労務管理に向き合う社労士の社会的意義を問う 

これらはいずれも違法ではありませんが組織としては扱いづらい社員であり、結果として会社風土を乱したり、社員の士気低下に繋がったりすることを懸念する経営者の気持ちはよく分かります。

このモンスター社員の場合、他人に配慮することを厭わない上に、自身で理論武装し、場合によっては法の専門家まで平気で使ってくるところが厄介であり、ならば「こちら(経営者サイド)も合法的にこのモンスター社員にうまく対処したい」という気持ちが働いたとしても不思議ではありません。

冒頭に述べた、懲戒処分を受けた社労士は明らかにやりすぎであり、私は言い訳すべきではないと思いますが、労務管理に関する様々な環境変化が社労士の社会的存在意義を改めて問うているような気がします。

ということで、このテーマでちょっと考えていきたいと思います。

(つづく)


最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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